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信頼:見知らぬ人を信じるのはお人よしなのか?

人は善意で動くと考えますか、それとも自分をだまそうとしていると考えますか。信頼・シニシズム・だまされやすさの研究と、ビッグファイブでの測り方を紹介します。

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信頼:見知らぬ人を信じるのはお人よしなのか?

あなたはネットで自転車を売っています。買い手から「今すぐ持って帰って、代金は今夜振り込んでもいいですか」と聞かれました。感じのいい人で、理由ももっともらしく聞こえます。

迷わず「いいですよ」と答える人もいます。一方で、そんなことは考えもしない人もいて、前者はだまされに行っているようなものだと思っています。

どちらが正しいのでしょうか。見知らぬ人を信じるのはお人よしの表れなのか、それとも疑うことのほうが高くつく間違いなのでしょうか。

心理学者はこの問いを何十年も研究してきました。ビッグファイブ・モデルでは、他人を良いほうに解釈する傾向を信頼と呼びます。信頼は協調性の六つのファセットのひとつで、人は正直で善意を持っていると、どれだけすんなり信じられるかを表します。

信頼とはどういう意味か

性格のファセットとしての信頼は、パートナーや親友のような特定の誰かへの信頼ではありません。まだよく知らない人々全般に対する、一般的な期待のことです。

スコアが高い人は、次のような点に思い当たることが多いでしょう。

  • たいていの人には善意があると考える。
  • 疑う理由がない限り、人の言うことを額面どおりに受け取る。
  • 何かがうまくいかなかったとき、相手を好意的に解釈する。
  • 他人をチェックすることにあまりエネルギーを使わない。

スコアが低い人は、裏の動機があるのではと考え、話の裏を取り、相手が信用に値すると示すまで警戒を解かない傾向があります。

信頼は、だまされやすさとは違います。だまされやすさとは、相手がうそをついているサインに気づけないことです。後で見るように、信頼の高さと判断力の低さは必ずしもセットではありません。

大切なのは人に対する出発点となる前提であって、証拠が現れたときにそれを無視するかどうかではありません。

信じやすい人がだまされやすいわけではない

人をすぐ信じる人は、単にうそを見抜くのが下手なのだ、とよく思われています。

日本の社会心理学者、山岸俊男らは一連の実験でこれを検証しました。質問紙で一般的信頼を測定し、そのうえで人々が他者をどれだけ正しく判断できるかを調べたのです。

信頼の高い人は、信頼の低い人よりも、相手が信用できないことを示す情報に敏感でした。また、協力も裏切りも可能な一回限りのゲームで、他の人がどう行動するかをより正確に予測できました。

山岸の解釈は、信頼は一種の社会的知性になりうるというものです。危険のサインを見抜くのが得意な人は、新しい関係に対して開かれた姿勢でいられます。その力に欠ける人は、誰もが自分をだまそうとしていると考えることで身を守っているのかもしれません。

なぜ私たちは他人を過小評価するのか

信頼がお人よしではないなら、なぜこれほど多くの人がシニカルなのでしょうか。

Detlef Fetchenhauer と David Dunning は2010年にひとつの答えを示しました。研究の参加者は見知らぬ人の短い動画を見て、経済ゲームでそれぞれの相手を信頼するかどうかを決めました。

全体として、参加者は見知らぬ人が実際にどれだけ信頼に値するかを過小評価していました。正しく当てれば報酬がもらえる条件でも同じでした。

研究者たちは、学習の問題を指摘しました。誰かを信頼して裏切られれば、それがわかり、つらい思いをします。ところが誰かを信頼しなかった場合、その人が実は誠実だったかどうかを知る機会はありません。そのため経験が失望の側に偏ってしまうのです。

信頼したかどうかに関係なく、すべての相手について結果のフィードバックを受け取ると、参加者はそれほどシニカルではなくなりました。

シニシズムは高くつくことがある

不信は、搾取されるのを防いでくれます。しかし代償もあります。

Olga Stavrova と Daniel Ehlebracht は、アメリカとドイツの大規模な全国代表サンプルの調査を分析しました。人間の本性についてシニカルな考えを持つ人は、そうでない人に比べて、数年後の収入が低くなっていました。ドイツのデータでは、最初の時点でのシニシズムが、その後9年間の収入の伸びを抑えていました。

この効果は、ビッグファイブの特性を考慮に入れても残りました。研究者たちが示したメカニズムは、シニカルな人は協力を避け、監視や自衛に労力を使うため、チャンスを逃してしまうというものです。

ひとつ重要な例外がありました。41か国を対象としたデータでは、殺人率が高く、向社会的な行動が少なく、社会全体にシニシズムが広がっている国では、シニシズムの悪影響は弱まっていました。つまり、不信はあまり得にならない、ただしその不信がたまたま正当な場合は別、ということです。

信頼することと、信頼に値することは違う

信頼とは、他人に何を期待するかについてのものです。自分自身が正直で公正かどうかは、また別の問題です。

ビッグファイブでは、自分自身の正直さや他人を利用しない姿勢は、別のファセットである道徳性で測られます。この二つはそろっていることが多いものの、いつもそうとは限りません。自分は完全に正直でありながら他人はずるをすると予想することもあれば、すぐに人を信じながら自分は手を抜くこともあります。

信頼が低いことは、妄想的であることとも違います。健全な懐疑心は、普通の性格の一部です。疑いが強すぎて人間関係や仕事、日常生活に支障が出るなら、それは別の問題であり、ビッグファイブのスコアで診断することはできません。

スコアが高い・低いとはどういうことか

信頼が高い

たいていの場合、人は正直で善意を持っていると考えます。そのため協力したり、仕事を任せたり、新しい関係を築いたりするのが容易で、周りの人もあなたに尊重されていると感じることが多いでしょう。

リスクは、信頼に値しない少数の人に失望させられたり、利用されたりすることです。特に、利害が大きく、相手のことをよく知らない場面では注意が必要です。

信頼が低い

他人の動機に慎重で、相手に頼る前に根拠を求めます。交渉や商談、誰かにつけこまれるおそれのある場面では、これが身を守ってくれます。

リスクは、良いチャンスを逃したり、周りの人が理由もなく疑われていると感じたりすることです。研究が示すように、慎重さにもコストがあります。

どちらの説明も典型的な傾向を述べたもので、どんな場面にも当てはまる法則ではありません。

日常生活では

  • 職場で:信頼の高い人は仕事を人に任せやすく、良い同僚だと見られることが多いです。信頼の低い人は、監査、セキュリティ、品質管理などの役割で力を発揮できます。
  • 恋愛・パートナー関係で:信頼があると安心感を持ちやすくなりますが、盲目的な信頼は危険のサインを見えにくくします。信頼の低さは身を守ってくれる一方、パートナーが常に監視されていると感じれば、関係をすり減らすこともあります。
  • 見知らぬ人と:信頼の高い人は、気軽に話しかけたり、物を貸したり、助けを受け入れたりします。信頼の低い人は、礼儀正しく距離を保ちます。
  • ネットで:詐欺は誰でも狙われます。品物を渡す前に入金を確認するといった良い習慣は、スコアに関係なく役に立ちます。

信頼は変わるのか

性格はかなり安定していますが、信頼は固定されたものではありません。

Michael Poulin と Claudia Haase は、83か国の約20万人のデータを分析し、さらに1,200人以上のアメリカ人を4年間追跡しました。高齢の人は若い人よりも信頼が高く、どの年齢層でも信頼は時間とともに高まっていました。また、信頼が高いことは、その後の幸福感の向上も予測していました。

Fetchenhauer と Dunning の研究からは、実践的な教訓が得られます。シニシズムが強まる一因は、信頼が裏目に出たケースからしか学ばないことにあります。より現実的な見方をするための方法をいくつか挙げます。

  • 人が約束を破ったときだけでなく、約束を守ったときにも目を向ける。
  • 小さく、リスクの低い信頼から始めて、どうなるかを見てみる。
  • 信頼してもほとんど損のない場面と、先に確認したほうがよい場面を区別する。
  • 自分の警戒心が、目の前のこの人にもとづくものなのか、別の誰かとの嫌な経験にもとづくものなのかを自問する。

よくある質問

信頼が高いのはお人よしなのか?

必ずしもそうではありません。山岸らの研究では、信頼の高い人は信頼の低い人よりも、相手が信用できないことを示すサインによく気づいていました。信頼がお人よしになるのは、明らかな危険のサインを見落としたときだけです。

信頼が低いのは妄想的な傾向の表れなのか?

いいえ。信頼が低いことは性格の正常なバリエーションであり、多くの場合は慎重さを反映しています。疑いがとても強く、日常生活に支障が出ているなら、医師や心理士に相談してみる価値があるかもしれません。ただし、テストのスコアだけではそれについて何も言えません。

利用されずに人を信頼することはできるのか?

できます。信頼と慎重さは両立します。善意を前提にしつつ、大切な約束は書面に残し、代金は品物を渡す前に受け取るようにすればよいのです。

ビッグファイブ性格診断では信頼をどう測っているのか?

このテストは IPIP-NEO-120 にもとづいており、各ファセットを四つの文で測定します。信頼については、「他人を信頼する」「人は皆好意をもっていると思う」「人の言うことは信じる」、そして(逆方向の)「人が信用できない」という内容です。スコアは、あなたのすべてを表すものではなく、傾向のサインとして読んでください。

自分のスコアを確かめよう

信頼は協調性の六つのファセットのひとつにすぎません。信頼が高くても、謙虚さや協力性は低いということもあります。

ビッグファイブ性格診断を受けて、30のファセットすべてを含む自分のプロフィール全体を確かめてみましょう。

参考文献

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