刺激追求:アドレナリンを必要とする人がいるのはなぜか?
スカイダイビングを予約する人もいれば、脚立の上でくらくらする人もいます。刺激追求の意味、スリルを求める人に関する研究、そして測り方を紹介します。
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二人の友人が、遊園地でいちばん高いジェットコースターのてっぺんにいます。一人はにやにやしていて、乗り終わる前からもう一度乗りたがっています。もう一人は目をつぶり、終わるまでの秒数を数えています。
その年の後半、一人目はスカイダイビングの講習を予約します。二人目は森の散歩で十分満足です。
ほかの人の心臓を悪い意味でドキドキさせるようなことを、あえて求める人がいるのはなぜでしょうか。
その説明の一部は、心理学者が刺激追求と呼ぶものにあります。ビッグファイブ・モデルでは、刺激追求は外向性の六つのファセットのひとつです。このファセットは、人生が面白いと感じるために、刺激やスリル、強烈さをどれだけ必要とするかを表します。
刺激追求とはどういう意味か
性格心理学では、刺激追求は、強い感覚を求める欲求と、物事が穏やかだと退屈しやすい傾向を表します。研究者は、これと密接に関連する「刺激希求(センセーション・シーキング)」という概念をよく使い、何十年も研究してきました。
スコアが高い人は、次のような点に思い当たることが多いでしょう。
- 刺激が大好きで、それがないとすぐに退屈する。
- 冒険や新しいスリルを求める。
- よく考えずに一か八かやってみることがある。
- すっかり羽目を外して、激しくはしゃぐことがある。
- 大音量の音楽、人混み、テンポの速い環境は、ストレスではなく元気の素に感じる。
スコアが低い人は、穏やかさと予測できることを好みます。騒音や騒ぎ、リスクは、わくわくするものではなく不快なものに感じられます。退屈な人だということではありません。静かな生活から十分な刺激を得ているだけです。
大切なのは勇気ではなく、人生がわくわくすると感じるまでに、どれだけの強烈さが必要かです。スリルを求める人は、多くの領域でリスクをとる
刺激好きが表れるのは、エクストリームスポーツだけなのでしょうか。研究によれば、もっと幅広いようです。
260人の大学生を対象とした研究で、研究者は喫煙、飲酒、薬物、性行動、運転、ギャンブルの六つの領域でのリスクテイキングを調べました。そして、これらを六つの領域すべてにまたがる全般的なリスクテイキングの尺度にまとめました。全般的なリスクテイキングは、衝動的な刺激希求、攻撃性、社交性と関連していましたが、神経症傾向や、質問紙の活動性の尺度とは関連していませんでした。
同じ論文は、ドーパミン受容体の遺伝子やモノアミン酸化酵素との関連など、刺激希求に関する生物学的研究もレビューしていました。著者らは、ほかの動物にも似た行動が見られることも指摘しました。
これは、スリルを求めることが遺伝子で決まっているという意味ではありません。しかし、刺激への欲求には、育ちや習慣よりも深い根があることを示唆しています。
ベースジャンパーは、あなたが思うような人たちではない
エクストリームスポーツの選手と聞くと、多くの人は向こう見ずな命知らずを思い浮かべます。橋や崖、建物からパラシュートで飛び降りるベースジャンパーを対象とした研究は、もっと微妙な姿を描き出しています。
研究者は、橋からのジャンプの前日に98人のジャンパーの性格を測定し、ジャンプの前後に唾液中のストレスホルモンを測りました。グループとして見ると、ジャンパーたちは非常に回復力が高く、自律的で、粘り強く、リスクをとることをいといませんでした。
しかし、全員が同じだったわけではありません。研究者は三つのタイプを見いだしました。強い熟達感を持つ経験豊富なジャンパー、ストレスホルモンの反応がほとんどなく、ジャンプ前に周りからの支えがあった、人を信頼し協力的なジャンパー、そして不安や経験の少なさにもかかわらず飛んだ勇敢なジャンパーです。
この研究ではビッグファイブとは別の性格質問紙が使われました。しかし、刺激好きが判断力の乏しさを意味するとは限らないことを示しています。スリルを求める人の多くは、念入りに準備し、しっかりと状況をコントロールしているのです。
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スリルを求める気持ちは思春期にピークを迎える
多くの親は、ティーンエイジャーが突然リスクを求めるようになったように感じます。研究はその印象を裏づけています。
10歳から30歳までの935人を対象とした研究は、質問紙と行動課題の両方を用いて、刺激希求と衝動性を別々に測定しました。刺激希求は10歳から15歳にかけて高まり、その後は低下するか横ばいになりました。一方、衝動性は10歳から一貫して低下していきました。
研究者は、刺激への強い衝動と、まだ発達途中の自己コントロールの組み合わせが、10代半ばにリスクテイキングがこれほどよく見られる理由を説明するのかもしれないと考えました。
刺激追求は衝動性とは違う
これは大切な区別で、上の研究がその理由を示しています。
刺激追求とは、強烈さ、目新しさ、スリルといった、何に引きつけられるかについてのものです。衝動性とは、どれだけうまく自分を止められるかについてのものです。ビッグファイブでは、欲求や衝動に負けてしまうことは、神経症傾向の不節制のファセットでとらえられます。
多くのベースジャンパーのように、刺激が大好きでも念入りに計画することはできます。逆に、つい食べすぎたり、買いすぎたり、スマホをスクロールしすぎたりと、スリルを求めているわけではないのに衝動的なこともあります。
刺激追求は、開放性のファセットである冒険心とも違います。冒険心は、新しい料理を試したり、知らない土地を旅したりするなど、変化や新しい経験を好むことについてのものです。刺激追求は強烈さについてのものです。新しい文化を探検するのは大好きでも、飛行機から飛び降りたいとはまったく思わない人もいます。
スコアが高い・低いとはどういうことか
刺激追求が高い
強烈さ、スピード、冒険を楽しみます。穏やかな時期にはすぐに退屈し、鼓動が速くなるような新しい経験を求めることがよくあります。
裏を返せば、お金、アルコール、運転、健康などに関して、取り返しのつきにくいリスクをとってしまうことがあります。
刺激追求が低い
穏やかで予測できる環境を好み、人生を楽しむのにスリルは必要ありません。騒がしい環境や危険な活動は、楽しいというより居心地の悪いものに感じられます。
そのため、安定していて頼りになる人でいられます。リスクは主に、実際には楽しめたはずの経験を逃してしまうことです。
どちらの説明も典型的な傾向を述べたもので、どんな場面にも当てはまる法則ではありません。
日常生活では
- 職場で:スコアの高い人は、変化やスピード感、ある程度のリスクのある仕事で力を発揮することが多いです。スコアの低い人は、決まった手順のある安定した役割を好むことが多いでしょう。
- 恋愛・パートナー関係で:一方は思いつきの旅行や新しい冒険を求め、もう一方は決まった習慣と安心感を大切にしているかもしれません。その二つを交互に取り入れると、うまくいくことがあります。
- お金の面で:スコアの高い人は、ギャンブルやリスクの高い投資に引きつけられることがあります。興奮に流される前に、あらかじめ上限を決めておくと役に立ちます。
- 運転で:スピードは、スリルを求める気持ちのはけ口として魅力的に感じられることがあります。サーキットの走行会やスポーツのほうが、似たような興奮を得るのにより安全な場です。
刺激追求は変わるのか
変わります。しかも、年齢とともにはっきりと変化します。
このテストのファセットのもとになった質問紙を用いて大人を対象に行われた大規模な長期研究では、刺激追求は若い成人期に最も大きく低下しました。30歳までには、思春期のピークからすでにかなり下がっていました。
だからといって、刺激への欲求を抑え込む必要はありません。でも、それをより安全な方向に導くことはできます。
- クライミング、格闘技、チームスポーツなど、コントロールしながら強烈さを味わえる活動を見つける。
- その場面になる前に、お金、アルコール、スピードについて自分の限度を決めておく。
- 退屈のせいで、ふだんならとらないようなリスクに向かっていることに気づく。
- スコアが低いなら、ときどき居心地の良い場所から小さく一歩踏み出してみる。思ったより楽しいかもしれません。
リスクテイキングのせいで、ギャンブル、アルコール、薬物、危険な行動などの問題が生じているなら、医師や心理士に相談するのが賢明でしょう。ビッグファイブのスコアは診断ではありませんが、何が自分を駆り立てているのかを理解する助けにはなります。
よくある質問
刺激追求が高い人は、事故にあいやすい?
平均するとより多くのリスクをとるので、何かがうまくいかない可能性は高くなります。しかし、スリルを求める人の多くは慎重で、準備も万全です。リスクを求めることと向こう見ずであることは同じではありません。
内向的でも、刺激が大好きということはある?
あります。少人数のグループや静かな夜を好みながら、高速のスキーやホラー映画、人里離れた土地への一人旅が大好きな人もいます。外向性の六つのファセットは、いつもそろっているわけではありません。
スリルを求めるのは、ADHD や依存症のサイン?
それ自体はサインではありません。刺激追求は正常な性格の違いです。ADHD や依存症は専門家による評価が必要な臨床的な状態であり、性格テストで診断することはできません。
ビッグファイブ性格診断では刺激追求をどう測っているのか?
このテストは IPIP-NEO-120 にもとづいており、各ファセットを四つの文で測定します。刺激追求については、「刺激が大好き」「冒険を好む」「無謀になることを楽しむ」「激しくはしゃぐ」という内容です。スコアは、あなたのすべてを表すものではなく、傾向のサインとして読んでください。
自分のスコアを確かめよう
刺激追求は外向性の六つのファセットのひとつにすぎません。アドレナリンが大好きでもグループでは物静かな人もいれば、リスクは避けるのにパーティーの中心にいる人もいます。
ビッグファイブ性格診断を受けて、30のファセットすべてを含む自分のプロフィール全体を確かめてみましょう。
参考文献
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